2010年12月24日金曜日

座長のすがお「閉じつつ開く組織研究」@東京編

きたかんリポータきのっちです。北の観光リーダー養成セミナー座長の敷田教授は「閉じつつ開かれた組織」が、どう学習しながら育っていくかに、興味を持っているようです。教授いわく「麻美≒麻実。よく女性と誤解される名前を親からもらったことによって、僕は越境する構図の『境目』に興味がある。だから地域における『閉じつつ開かれた組織の研究』をライフワークとしている」のだそうです。

しかし「閉じつつ開く」とはどういうことでしょう。禅問答のようで、私が正直イメージしたのは網戸であり食虫植物でした(イメージが不毛で恐縮です)。ちょうどこの大学間連携の研究プロジェクト<a href="http://hope80.jp/" target="_blank">「HOPE80」</a>を、ちょっと手伝う機会があり、私も学習の機会をいかし東京に出動しました。会の規模は15名程度で、なごやかななかにもアカデミックな雰囲気でした。ちなみに研究を平たく言うと「旅行をしつつC02排出は減らし、地域と都市を結び、温泉地域が活性化するために観光とかネット技術やNPOができること」を出し合う会です。

【写真-1】会場はJR田町駅至近。全国の国立大が多数入居

【写真-2】千歳は雪。東京は晴天

まず3大学(東京農工大・早大・北大大学院)を代表して敷田教授が研究会プロジェクトの趣旨を説明し、参加者が自己紹介を行いました。そして大学だけあっても研究は「現場」がないと進まない、その具体の実験地は小田原・足柄地域に設定しています。

その後、敷田教授の指導学生でもある博士課程2年の依田真美氏が「ボランティア・ツーリズム」を、そして敷田教授が「地域づくりにおける中間システムの意義と役割」を概要説明し、参加者と議論しました。その後、ボランティア・ツーリズムや都市と農村交流の実践地として、新潟県の<a href="http://www.echigo-tsumari.jp/" target="_blank">越後妻有アートトリエンナーレ</a>に携わる、関口正洋氏が事例を発表しました。

依田氏はボランティア・ツーリズムが日本で研究の歴史が浅い状況にあることを紹介し、ボランティアを旅先で行う目的を2点説明しました。その1つは地域に人を呼んでくることで今まで地域ができなかったことができるようになる点。そして地域に関わることで意識が変わる点で、その結果、地域でのグリーンツーリズムやボランティア・ツーリズムとの間に、重なりや共通する問題が多く、双方が展開する上で関与し合う研究となることなどを説明しました。出席者からは多くの意見や質問が寄せられ、都市と農村の距離を埋める直接の交流や、実際の対話とデジタルの融合が、持続的なボランティア・ツーリズムの課題であることなどを共有していました。

続いて敷田教授は<a href="http://www.geocities.jp/loveodaashi/" target="_blank">「小田原・足柄異業種勉強会、通称:おだあし勉強会」</a>を北大側の場に設定した企画を発表しました。

【写真-3】企画発表を前にくつろぐ敷田教授

北大は「中間システム」におだあしを位置付け、当該地域の組織や運営の仕組みを研究対象とします。そして地域資源を活用し、外から人の来訪を中間システムが促し、来訪で得た利益から地域の資源に再投資を行い、環境の疲弊を防ぎ地域の価値を高め、再度サイクルを回すという構造のプロセスを、図で解説しました。この研究の到達の一つに「効率が悪いこと自体を評価の対象とする研究」を目指すと敷田教授は言います。非効率の効用を立証し、さらにCO2とも関連すれば有益であると述べて発表を括っていました。おや??またしても、効率の悪さを評価する?・・・禅問答のような目標の設定です。発表をうけての意見交換と質疑では、出席者から「プラットフォーム」や「場」という言葉について、再度の確認の共有や、公共性、ソーシャルキャピタルの概念について意見が出ていました。楽しげですが難しい話でした。そんな一連の議論の中で、「遊びがあるほうが壊れにくいものです。ムダだからこその美しさがあります」と参加者の中から、含蓄あるコメントがあり、なんだか私の印象に残りました。

休憩ののち、都市の若者によるボランティア隊「こへび」(※へびの子)と地域との交流の実践を「越後妻有アートトリエンナーレとこへび隊」と題し、関口氏が発表しました。

【写真-4】各地の持寄り菓子で休憩時間充実

こうして第1回の研究会@東京は、大学間の連携および地域と大学との協働の第一歩として、全体メンバーが顔を合わせ、研究のベクトル合わせを行い、予定時間を超えた議論を一旦締めました。そして懇親会の店へと移動して、師走のお鍋を一同が楽しみました。敷田座長のなぞかけのようなライフワーク「閉じつつ開く組織研究」による、大学間連携のよき研究フィードバックが、北の観光リーダー養成セミナーや、その修了生組織きたかん.netにも、2011年は期待できそうです。

【きたかん CAST】
・敷田座長=北の観光リーダー養成セミナー座長。よそ者と知り合うのが趣味
・きのっち=きたかん記録係。風邪ぎみから中耳炎に昇進(?)北海道の皆さまご自愛を

【NEWS】
科学技術コミュニケーションの実践と研究の交流の場として、<a href="http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/" target="_blank">北大 CoSTEP</a>が年2回刊行しているジャーナル『科学技術コミュニケーション』が最新号(第8号)発行。
敷田麻実教授が論文を出しました☆
http://hdl.handle.net/2115/44524
タイトル:専門家の創造的な働き方としてのハーフシフトの提案
~科学技術コミュニケーターとしての隣接領域での無償労働~

下記ウェブサイトから全文閲覧可能です。
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/jjsc/

2010年12月15日水曜日

12/11きたかん忘年会@グリーンH-1

きたかんリポータきのっちです。酒席の前には「錠剤」や「ドリンク」を飲まないと、翌日がしんどい今日この頃です。2010年12月11日(土)、きたかん懇親大忘年会@ススキノグリーンホテル1 にて開催しました。

【写真-1】52名が参加しました

下ごしらえとして、開演の40分ほど前から1次会の会場では「名産品ブース」を壁際に設置し、その準備係を、観光のセンセ千葉嬢&きのっちが担当。持ち寄り品をブースに展示しました。持ち込む品は多様で、人によってはホールでシフォンケーキや、チーズの塊だったりするので、切り分けて盛りつけます。
【写真-2】各地の美味しそうなものが。黒いのは夕張石炭シュークリームどっさり

会場の入口では、信用金庫勤務でお金カッチリ管理のふしみ氏と、旅行添乗のプロうえ氏がソフトな笑顔で出迎え、もれなく集金します。宴会時間もゆったり3時間を確保、一部をセルフでやることによってホテル開催でありながら、リーズナブルな価格設定ができました。こうした裁量が可能なのも、きたかんメンバーはたぶーさんがいればこそ。3次回をすぎてドロドロに酔っても宿泊先まで安心なグリーンホテルに取って挑んだ、きたかんメンバーも数名いました。総勢52名が7つくらいの丸テーブルに分かれてスタートします。

「ん?」
「・・・。おもしろくないな」

影の監督(?)きのっち、会場を見まわして少々不満でした。それは「いつものメンバーで固まっている」こと。席の指定は全くしていない。そのせいかもしれませんが、
・(上座らしい場所にはいきたがらないので)講師が固まる
・(養成セミナー事務局は道庁)道庁職員席ができている
・(今研修をうけている)3期生は3期生で1テーブルできている
・(タバコを吸う人は喫煙者だけで)1テーブル喫煙席ができている
なんとなしその「属性」によってテーブルに「色」がついている。そうではなく「人間をかきまぜることで、面白いことは生まれる」。のでそのままスタートするのは、まずいしょ。

そこで序盤、私がやんわりと「誘導」することとしました。円卓を時計の「文字盤」に見立てて、まず奇数席の人が起立し、時計まわりに1テーブル動いてもらいます。すると、違う属性の人が半分新たにテーブルに入りこんできます。それで忘年会をスタートしてみることとしました。宴会が始まってしまえば、お酒やつまみを取りに人はさらに動きますし、自動的にかきまわし演出は成功です。会場のみなさんは多くが観光リーダー修了生ですし、同日午後はエルプラザで「旅カフェ」ワークショップをやってきたばかりとあり、極めてスムーズに協力が得られました。適応能力のある集団です。

代表者をしているワッキーが、総体としてのきたかんをPRしました。
続いて各単体での「きたかんPRタイム」として、一部にプロジェクタも使い、各ユニットの代表が説明しました。
・洞爺(にし)
・日高(たどころ)
・夕張(あらだて)
・夕張ファンタ映画祭への支援(くぼじゅん・はたぶー)
4本のプレゼンを聞く参加者にしてみれば、各々の取り組みも、刺身も、お酒も同時に摂取し、隣席の人とも話をしつつプレゼンを聞いていますので、「聖徳太子なみの処理能力」が必要でした。

酔いが回ってくるころ、名産品のPRタイムに入り、遠くは沖縄など自分の出身地から逸品や新製品、なかにはまだ売られていない試験段階の品を持ち寄り、紹介しました。

【写真-3】各地産品のPRタイム

各地の酒(ワイン、山ブドウワイン、日本酒、焼酎、泡盛、紹興酒)、各地のお菓子(石炭シュークリーム、ラスク、飴、餅、シフォンケーキ)、カワキモノ(ししやも、コンブ、豆、鮭とば、チーズ)など多数の持ち寄り品、そのPRがおわるや否や「名産品ブース」は今回も大盛況でした。品々はキレイに飲んで食べて持ち帰りました。そして宴は中締め⇒本締めとなり、2次会組はカラオケの館へと、分かりやすいMAPと誘導隊によって、導かれていきました。

こうして、北の観光リーダー養成セミナーを縁に結成した、きたかんメンバーは2010年も楽しく集い、学び、遊びました。北海道の内需拡大、買い支え部活動「きたかん.net」は、2011年も楽しく続いて行きます。


【きたかん CAST】
千葉/きのっち/ふしみ/うえ/ぬまっち/はたぶー/ワッキー/にし/たどころ/あらだて・・・ほかALL☆

2010年12月12日日曜日

12/11旅カフェ@エルプラザ

きたかんリポータきのっちです。札幌は雪の1日でした。昨日2010年12月11日(土)は北の観光リーダー養成セミナーによる「観光人材交流会-旅カフェ2010~世界レベルのリゾート地“HOKKAIDO”を目指して北海道流のおもてなしスタイルを考えよう!~」が行われました(続編)。

受講者の声を聞いたあと、しばし休憩して、小道具を準備して「旅カフェ」というワークショップを行いました。ワークショップにはいろいろありますが今回は、皆が偏りなく参加し、否定や反論されることのない、到達点を目指さなくてよい、居心地のよい場づくりの実践として、おそらく皆にとって身近な旅行をテーマに、話題を構成しました。案内人は、<a href="http://www.scenicbyway.jp/" target="_blank">シーニックバイウェイ支援センター</a>で広報を手掛ける、かとうけいこ氏が務めました。

【写真-1】100人近いワークショップは壮観

・これまでに「もてなし」を感じた自分の旅経験
・北海道らしさとか、北海道ならではの魅力
・北海道を訪れる旅人にとって足りないもの、あるいはプラスしたらよいと思うこと
を「カフェ」のような空間で、計90分話し合います。

【写真2】3つの“お題”によって話し合います

お話しするテーマが20分ほどの時間ごとに変わるので、その回ごと、各テーブルの1人(守人)を残して皆が好きなテーブルに旅します。

【写真-3】次のテーマに向け「総がわり」している最中

そして最後には、当初に出発したテーブルに戻ってくるという、旅仕立てとなっています。ですから旅カフェという名前がついています。そして、1人の話題独占を避けるため、マスコットを握って話す(トーキングオブジェクト)という掟があるという点が、普通の「茶飲み話」とは違う「旅カフェ北海道」でした。ちなみに、マスコットなどは普段の仕事にまず使わない特別な備品であり、ワークショップの回ごとに、事務局クラモト嬢の大事な私物から提供を受けています。

【写真-4】大のオトナがマスコット手に語るほほえましい風景

普通の会議と違って、到達点や決めるべきゴール設定がない、誰もが否定されずに心地よく話せる、そこからアイディアや発想がポジティブに広がって行く気持ちよさを感じたであろう、ワークショップでした。基調講演と、受講生のセッション、そしてワークショップで、北の観光リーダー養成セミナー活動の一端を公開しました。2011年はどんな受講生がセミナーの扉をたたいてくれるでしょう。


【きたかん おもなCAST】
・かとう=本業は広報部長。研修とかワークショップも、息切れしながらやる姐御
・クラモト=道庁職員にして養成セミナー事務局。ゆるキャラ好き
・きのっち=きたかん記録係。話が長い欠点を自覚している

12/11観光人材交流会-2010

きたかんリポータきのっちです。札幌は雪の1日でした。昨日2010年12月11日(土)は、北の観光リーダー養成セミナーによる「観光人材交流会-旅カフェ2010~世界レベルのリゾート地“HOKKAIDO”を目指して北海道流のおもてなしスタイルを考えよう!~」が行われました。

会場はサツエキ北口直結のエルプラザ、3Fのすばらしいホールを使いました。この催しによって、次期受講生の獲得とか、セミナーのPR、そして1-3期修了生と現役の受講生、さらには4期の次期受講を検討する人たちが面識を得て深めるなど、さまざまな効果を狙っています。そして、観光という広い産業や業界をフォローしているセミナーでは、豪華&多彩なゲストも魅力です。今回は領事館から、流暢な日本語と日本の自然や文化を観察する目を持つ、ジョン・リース氏が考える北海道、および日本の魅力を語りました。

【写真-1】基調講演 在札米国総領事館 ジョン・リース氏

続いては、「受けた人にセミナーの良さを聞いてみよう」。2010年の9月から受講している現役の5人が壇上の椅子に座り、敷田座長はステージを自由に動き、質問を振り、5人と対話するというスタイルで、トークセッションが行われました。

【写真-2】トークセッション

彼&彼女らがセミナーを受講しようと思った動機、受けてみて感じた気づき、今まで受けてきた研修や、習い事とは異なる点や、受講生同士のエピソードや、各人にとっての養成セミナーとは、など、敷田座長がうまく引き出し、まとめていました。問いかけによって出てくるコメントは各人まちまちですが、総轄すればそれらは
・できなかったことができるようになる喜びの共感
・個別の闘いではなく、グループ皆で成果をだせるようになる
・修了後も受講生同士や先輩修了生とのつながりが維持される etc
であることで、北の観光リーダー養成セミナーの受講によって得られることを、敷田座長が整理していました。

しかしこれ、「セッション」ではありますが、下準備としての打合せもないのによく登壇者も、敷田座長からの突然のフリについていけるものだと感心します。こうした「アドリブ能力」も、次世代観光リーダーにとっては必須の能力といえましょう。

【写真-3】フロアに降りて“取材”する受講生

私が聞いたところでは、デザイン会社勤務のM氏のコメントが印象的でした。社会人は就職することによって、多様な人脈を得ることは印刷業とか広告業のように偏っており、異業種の人脈との出会いは意外と少ない。私にとって北の観光リーダー養成セミナーは社会人による、「北海道観光を強くしたい部の部活動」みたいだ。そこでは個人が各地で孤独に頑張るのではなく、チームをつくり、練習を積んで、試合にでて出来・不出来の成果を知り、さらに強くなるために検証を行う。こうした一連のプロセスを、体育会系でなく観光に置き換えて、セミナー受講によってできる。人脈の広がりと部活動の楽しさが受講によって得られた。
このような旨をM氏ほか、登壇者たちは語っており、講師陣や主催側が期待した効果が着実に出ていることを感じました。とくに、これら催しの仕込みに、時には日付越えの業務を遂行している道庁事務局ズは、泣いて喜ぶことでしょう。また、この日に合わせて転勤先の大阪から飛んできた2期生にゃま氏も、人的ネットワークの拡大を遠隔地から支援するきっかけとなったでしょう。

トークセッションに続いては、ワークショップ「旅カフェ」が始まります(続く)。


【きたかん おもなCAST】
・敷田座長=北の観光リーダー養成セミナー座長、2010年最大の私事は孫の誕生
・3期M=札幌デザイン事務所社員。人との出会いはアナログ手法好き
・クラモト=道庁職員にして養成セミナー事務局。ゆるキャラ好き
・にゃま=きたかん2期生のテレビ局営業マン、大阪から札幌を支援する
・きのっち=きたかん記録係なのに、自分の小遣い記録は続かない

2010年12月6日月曜日

メンバー探訪@観光局

きたかんリポータきのっちです。北海道の次世代観光リーダー育成のもと、1期&2期生のメンバーが学んだ出身母体である「北の観光リーダー養成セミナー」の事務局には、仕事も飲み会もYOSAKOIも旅行も、全てが大事というクラモトデスクというキーパーソンがいます。

彼女の働く背中をご紹介しましょう。まずはいきなり・・・。リラックマに包囲された城塞のような机から!

【写真-1】関係者の中では半ば“観光名所”化している

道庁を訪問すると、4つに分かれている観光の部局があり、その一角に彼女の個性的なデスクがあり、ご本人が生息しています。ちなみに北の観光リーダー養成セミナーは平成22年度は、札幌と釧路に分校(?)を持ち、道庁で2箇所をケアしているため、業務がなまら増えて、事務局は大忙しのようです。ですから不在なことも多いのですが、彼女にとって出張とは、過酷な事前-事後処理を伴いつつ、道内・道外各地からの「個人的仕入れ」も兼ねていると聞きます。

【写真-2】名所で仕事をするクラモト嬢

彼女はなんでも自分の興味を引いた商品は買ってみる、食べてみる実践者でもあります。観光部局にうってつけの人材といえましょう。その本業である人材育成事業では、事業費の管理や、講師との調整、場所の確保や資材の調達、宿泊があれば予約、移動の足の確保、資料の準備と印刷、受講生からの要望や不平不満の窓口、自主的飲み会の場所確保などなど、多くの大事な仕事や瑣末なことごとが、クラモトさんのデスクに集まってきます。普通の人ならヘトヘトになると思います。

【写真-3】ある時は調達班として

【写真-4】YOSAKOIで鍛えた体力が売り

北の観光リーダー養成セミナーに興味がある人はどうぞお尋ねください。観光の部局で職員さんはフレンドリーですので、訪問も歓迎してくれることでしょう。

【写真-5】入って一番派手なデスクが目印


【おもなきたかんCAST】
・クラモトさん・・・YOSAKOIは人づくり。チーママと呼ばれることもある
・きのっち・・・きたかん記録係。リラックマよりミッフィーがすき

2010年12月4日土曜日

11/28穂別映画集団@札幌ロケ!

きたかんリポータきのっちです。カメラのSDをなくして困っていたのですが、買いに走り解決しました。北の観光リーダー養成セミナー2期生で、二輪車好きのイージライダー役場職員、田所さんの暮らす町むかわ町「穂別:ほべつ」が、今日のテーマです。

ちょっと以前に、「皆様ご存じ穂別の高齢者が出演する映画の第4作『赤い夕陽の爺jyurie(ジュリー)』のロケが道庁でで行われます」と道職員、栄一郎さんからのML 情報で、穂別おっかけ隊の私は、2010年11月28日(日)ロケ見学に行ってきました。家にいて気づいたら14:40だったので、「あぁ!ロケが終わってしまう。4作目品目の映画が、しかも札幌ロケをやるなんて、そうある機会ではない」と自転車で駆け付けました。日曜のロケは気温3度、晴れでしたがやや風が強めでした。

【写真-1】庁舎壁面の「丸いブチ模様」は、向かいのビルのガラスによる反射
によるもの

【menu】
 2010年11月28日(日)10:00~15:00 @道庁赤れんが庁舎
 内容:10:00~10:30 役所への陳情シーン(リハーサルと本番)
    11:00~12:00 ダンスシーン(リハーサル)
    13:00~15:00 本番

穂別の高齢者による映画制作集団「田んぼ de ミュージカル」。フランス国営テレビの取材クルーに「こんな集団はここにしかない!」と言わしめた、平凡なお年寄たちによる、非凡な活動です。

【写真-2】スタンバイ中の出演者

2002年に委員会を立ち上げ、45分の映画をこれまで3本撮って本作が4本目。こうした地道に続く活動が全国に知られるようになり、俳優さんたちへの取材や、実行委員事務局長さんが、他の地域に出張指南していると聞きます。ちなみに穂別は、むかわ町と合併した山あいの、地図のおおかたが旧穂別町、林業と農業のまちです。そこに暮らす高齢者の属性は、農家のじいちゃんばあちゃんが多いのでしょうか。

さて、農家もいわば作物を通して表現する者。米やメロンという表現手段をいかに立派に、自分の満足のゆく理想へとに育てるかに砕身してきた人たちですから、映画の世界でもこだわるわけです。みな立派なお年寄ですが俳優・女優モードが入ってて、リハーサルからブラウスなど薄着ないでたちで、モニターのチェックとか、長い待ち時間もあるなかでも、さほど苦もなく待っています。なんだか楽しげな雰囲気の中にも緊張感を保ち、監督の指示にも的確に応えているのが見えて、役者としてプロの仕事ぶりを感じました。

【写真-3】旗を振るか降らないかをチェックする監督

【写真-4】モニターが映らない・・・トラブルも解消

【写真-5】撤収も手慣れたもの

【写真-6】むかわ町のロケバス

この一連の映画づくりを支援している崔洋一監督の姿も、今日初めてみました。声の良く通るかたで、特別なオーラというよりも、気さくなおっちゃんという感じでした。このように、皆の力で良い作品に仕上がることを現場を見て改めて感じました、上映に期待しています。

ちなみに、この集団には「映画が出来上がるまで死んだらダメだぞ」という合言葉があるようです。「葬式には出られないぞ。お前が死んだらお前の代役はいないんだからな」と励まし合う、そんな年寄り映画制作集団。北海道の農山村に注目を集める、すばらしく突き抜けた生き方です。

【きたかん CAST】
・田所さん=きたかん.netイチ声が大きい(たぶん)。穂別の役場で観光など担当
・栄一郎さん=もとホテルマンな道庁マン。子どもにモテる
・きのっち=きたかん記録係。うがいと手洗いが好き

12/4夕張セッション第2章「破綻」

きたかんリポータきのっちです。本日2010年12月3日(金)、北の観光リーダー養成セミナーの受講生を毎年出していて、地域の再生に前進しようとしているまち夕張と、セミナー修了生組織きたかんが、互いに学び自身の活動にも活かしましょうという「夕張ユニット」荒舘・くぼじゅん・はたぶーさん企画の勉強会がありました。

夕張セッション第2章『炭鉱から観光そして財政破綻・・・』
場所:キャリアバンクセミナールーム。出席 合計17名 でした。

【写真-1】きたかん修了生が講師に。企画したのも同修了生(左:あらだて氏、右:千葉氏)

あらすじ=1983年の「石炭の歴史村」開業から観光業が始まり、スキー場、ホテル、遊園地、ロボット館、世界のはく製etc・・・、ハコを作って資源を来訪者に見せることから、3セクが経営し続けていくためにハコを作り続けることへと、目的がすっかり変質し、ついに2006年財政再建団体となり夕張市は破綻しました。そんな観光投資の結果、やまもりの3セク処理が待ち受け、その再建を「現場で見て仕事に携わった者」として、2人がその時代を語りました。1人は市職員、もう1人は銀行からの出向職員。かれらの率直な語りには、出来事は夕張で顕著に現れたが、どこにでも起こりうることだ。というメッセージが込められていました。

まず講師-1として佐藤学さん 市の建設課で市営住宅の管理を担当しています。「観光とは関係ない課なのに~?」と思うなかれ、佐藤さんは様々な役場の課を、仕事を鵜のみにしてこなすだけでなく、常に批判的に向き合ってきっちり問題点は相手とケンカしてでも、ないがしろにせず、渡り歩いてきた職員です。大変な課を渡り歩くことは、それだけ仕事と真摯にむきあって来たことの表れ人事です。それを美辞麗句がないご本人の弁だと「人呼んで『汚物処理班』、歩く三角コーナーとして、異動を命ぜられてきた」とのこと。公務員としてのアウトローぶり、すばらしい表現力です。佐藤さんが20分ほど喋って10分ブレイク。休憩ののち、講師-2として夕張の財政破綻時における処理を、市役所を支援する出向という身で現場に入り、2年間苦労して担当したのが、きたかん2期生の千葉さんで30分語りました。

それにしても、夕張が破綻して大変だという情報は、テレビに新聞、本で表現されてきたものは数あれど、どれも夕張の事実を適宜、素材になりそうな部分だけくっつけて話に整えたものも多々あったと思います。事実ではあれど真実ではない。その真実を、実際に“処理班”していた2人から聞けて、そして後半では夕張4人衆として、フロアとも交えてQ&A式で話を深く聞くことができたことに、とても価値ある時間をすごせました。

【写真-】夕張ゆかりの4人衆(左から佐藤・伊藤・千葉・あらだて)

組織として目的を設定し、人や情報などある資源を動かすことの大切さを痛感しました。本来、組織としてうごくべき市役所が属人的に、きわめて非システム思考で長年やってきており、中の人達は改善すべきことを思考できない、いうなれば「困っているんだけど、具体的にどう困っているかが分からない困ったぶり?」が蔓延している組織、それが夕張市役所でした。そして課内はおろか、自分のすべき最低限の守備だけ見ていて庁内の連携や、市と他の機関との連携は、守備の範囲外で個人の知ったことではない。そうした仕事をめぐる症状は、夕張でたまたま顕著に現れただけで、各地の市町村、いや、フツーの会社内にも色濃くみられる現象ではないでしょうか。

Q&Aタイムでは、このような質問(一部)が出ていました。

Q:市役所職員は、支援の目的で外からデキる逸材が各地から入ってきた。彼らに感化され「やらなきゃ!」と奮起して、自ら変わるという変化がなかったの?
→一部影響されて仕事ぶりが変わった職員もいたが、土台となる人材育成の仕組みがない環境が長く続いたので、古参は外部から刺激しようとさほど変わらない。

Q:夕張市や市民は外からの支援を、ホントのところありがたいと思っていたのか?
→市民や市役所に「支援慣れ」している面があった。炭鉱時代の文化が影響していると思われる(北炭時代~ 家賃、光熱、風呂etc・・・無料で使えて当たり前)

Q:支援に入る人が、市の課長など権限をふるえるポストにつかなかったのか?
→長も長補佐もプロパー系職員で、実際に外からの支援人材がつくのはそれ以下の職位だった。

Q:暗い話ばかりだった。夕張に明るい話はないの?
→明るい話題としては、破綻以降こうして我々がヨコに連携する機会が生まれた。そのつながりから、いま若手が奮起しようとしている。

Q:いろんな人的支援、物納、ボランティア等あった。本当にほしかった支援は?
→夕張にはいろんな支援がきたが、市役所に人を育てるプログラム自体がないことが一番の弱点。ここの改善には、今いる反対派の影響があり内の努力では困難。総務や人事などに人材育成のシステム思考を持つ人がついてくれると、市役所は変わると思う。

・・・と質疑も沢山寄せられましたが一旦終え、話足りない点は有志と夕張組、場を変えて飲みに行き、懇親を深めました。次回の夕張セッション第3章、テーマは『市民活動について NPOの設立』、2011年1月の開催予定です。こちらも楽しみです。


【セッション第2章ゲスト】
★佐藤学 氏
破綻当時、観光課として3セク処理を担当し、再建計画案策定に係わり、現在住宅再編問題を担当。

★千葉敬司 氏
北海道銀行美香保支店(きたかん2期生)
銀行から出向職員として夕張市地域再生室主幹として、3セク処理など藤倉市政を2年間支えてきた。
 
【きたかんおもなメンバー】
千葉さん・・・久しぶり登場のきたかん2期生、銀行マン 
くぼじゅん・・・恵庭でまちづくりをやっているデザイナー
はたぶー・・・夕張セッションでは企画&集金係。すすきの魅力UPを企む
あらだて・・・きたかんと夕張との縁を取り持つ夕張のNPOスタッフ
きのっち・・・最近なくしものが多い、きたかん記録係