2010年10月31日日曜日

10/3知床のエコツーリズム講演@札幌

きたかんリポータきのっちです。「北の観光リーダー養成セミナー」座長の敷田麻実氏は、本職は北大の先生です。その対外むけ発信活動の一端を紹介しましょう。

「朝日新聞・北海道大学・HTB」共催による「知の森へ ポプラ広場」シリーズ旅のチカラ(1)として講演&対談が、2010年10月30日(土)に札幌駅前の国際ホールにて開催されました。参加は76名、平均年齢はやや高めです。どんな講演会もそうですが、中高年齢者の学びの意欲はとても高く、どのようなテーマの講演にいっても感心します。受講者に交じり、3期生の福山さん、2期修了生のふしみさんといった、きたかん受講生の姿を数名確認できました。

【写真-1】写真を交えて「北海道でエコツーリズムを考える」敷田教授

「エコツーリズム」という概念に出会うまでは、不勉強な私は田舎育ちであったため、「これ以上自然はいらん」とばかり、自然というものは周囲にあって当たり前でした。よって自ら野山に分け入るなど、考えられないことでした。
・自然なんて減るもんじゃなし、どんどん使えば?
・自然に値段付けて売るって、おいしい商売ですね
・ガイドさんはシーズンオフはなにして食べてるの?
など、不躾でデリカシーのない疑問も多いテーマ、それがエコツーリズム、あるいはその理念を商品化したエコツアーに対する、私の印象でした。敷田教授の前半の講義では、これらの代表的なエコツーリズムに対する疑問に対し、1点ずつ検証しました。

・自然はタダだし、自分は痛めていない。・・・と思っても、自然は疲弊するのですよ
・地域の自然、それ以上に「地域の人に会いに行く」のがエコツーリズムの醍醐味です
・外の人から賞賛されることこそ、地域が自然に再投資して守る原動力になるのです
といった話をスライドを使って、平易に語りました。

後半は知床の自然保護の取り組みに詳しい、知床地域を知り尽くした朝日新聞の根室支局長&敷田教授との対談と、フロアを交えたQ&Aを行いました。知床の詳細は朝日新書から「よみがえれ 知床」-100平方メートル運動の夢という本が、2010年3月に出ています。よい話を聞いた感動を、会場の販売コーナーから買って持ち帰ることができるのも、講演会に参加する大きな楽しみです。

【写真-2】深沢博 朝日新聞根室支局長との対談

【写真-3】おつかれさまでした(@札幌グランドホテル)
※深沢支局長はビール、敷田教授ガトーショコラ。甘辛対談?

3期生の自主反省会@sapporo55

きたかんリポータきのっちです。9月に入った「北の観光リーダー3期生」は、次世代観光リーダーとしての潜在能力&適応能力とも持っていて、なんだかまるで「なぜ・どうして」を連発する子どものようなエネルギーのカタマリだという、印象を持っています。

さて、そんなモチベーションの高い3期生が学んだ、湯の川を題材とした土日のセミナー(10/23-24)の反省会に、きのっち潜入してきました。話の発端は「あの日、評価している人の中で、最も3期と接触がないという点で、客観的に見ているきのっちさん、僕らの反省会にきてFグループに『気づき』をもらえませんか?自分の中で全く分析が出来なくて、班内でもどう検証したものか、頭の整理が混乱ぎみなんです(主旨)」といった HELPメールが、悩める福井さんから届いたからでした。

【写真-1】場所は、sapporo 55ビル。キャリアバンク社のお隣です。

その日は評価者の立場だったきのっちとして、このようなコメントをしました。これらはFグループだけでなく、3期生の全員に言えることだと思います。お題は、湯の川温泉や函館を使ったオンパクを絡めた新たな旅行商品づくりです。
(1)主題が凡庸、狙うターゲットが「尖がってない」
 →例えば「子どもからお年寄まで」を満足させる商品は総花的になる
(2)基本設計に当たる前提部分の分析が粗い
 →ターゲットの人口や彼らの傾向、など商品を作る前提を調べきれていない
(3)模造紙の使い方が素人。絵がきれいじゃない
 →ワークショップ7つ道具のプロッキーペン、まず字が細いのが論外

1-2期生を見てきた者として、やはり受講生のレベルは年々上がっていると思いました。きたかんの先輩達のグループワークなんて、とっても発展途上な感じでした。中には内部分裂するところあり、得意な人にマルナゲした班もありました。

1-2期と比べるのも恐縮ですが、3期はより発展している。ですが、やはり「北の観光リーダー養成セミナー」の設計図通り、この単元の狙いはケースメソッドを読み、事前の宿題を個々にやり、当日集まってグループワークをやる。これによって、個人の学びの限界を知り、グループメンバーで何らかの役割分担ができ、時間内に、プレゼンができたというプロセスを共有する。これが大事なのです。順位をつけた内容のデキの良しあし以上に、個々の学びができる範囲と、グループでできることの違いを知る。ここが大事なことなんですきっと。

【写真-2】なんと1か月先「次回の宿題」を持ってきた人も!(飲み会なのに)

それにしても。反省&検証会といいつつ、食事(10人くらい)→飲み(7人くらい)→カラオケ(4人)にまで付き合ってしまった私は、3期生のいい遊び相手・・・?なのでしょうか。

【おもなきたかんCAST】
・福井さん・・・北海道新幹線とか道経済という、とかくビッグなネタを仕事で扱うひと
・きのっち・・・福井さんを「養成セミナー3期に来い」とナンパしたひと

2010年10月29日金曜日

財務分析と信金を学ぶ@自主勉強会

「100百万円」がいくらか俄かに分からない、きたかんレポータきのっちです。ちょっと時間がたってしまったネタですが、北の観光リーダー養成セミナーの修了生組織「きたかん.net」の第2回合同勉強会を、2010年10月20日(水)18:30から2時間、開催しました。

この勉強会、使用の先約がない限り、キャリアバンク社からアジトの提供をいただいています。この日は18名が参加しました。18:30に集まるのは、勤め人自にも営業にとっても結構タイトです。日中への仕事の集中や、キリのよいところでのダッシュ(逃亡?)が求められます。勉強会は2部構成としており、1-3期の養成セミナー生および関係者に限定し、500円ワンコイン制で、毎回マイナーチェンジを重ね、ベストの運営スタイルを模索しています。この日のテーマは、北海道観光をより強くするための必須アイテムです。財務を読めて戦略が立てられて
、それをもって資金を調達する際、知っておくとよいネタでした。

【写真-1】Part?:「財務分析の基礎」/益山健一講師@きたかんサポーター
→財務の話はスマートに終了

【写真-】Part?:「信金の仕事&私の考える観光振興」/2期生 ふしみさん@信金マン(奥中央)
→質問者が続出。ちょっと脱線しがちな質問者に軌道修正するシーンも

前半は、皆が苦手とする財務のイロハです。まずは貸借対照表の見方と勘所。「かりかた」「かしかた」といった用語を使わずに益山講師は話し、数字アレルギーもちにとって「財務分析はそんなに難しくはないんだ☆」という夢と希望を、分かりやすい説明によって与えて下さいました。

つまるところ「資産」「負債」「純資産」という大きく3つのブロックしかない。そのブロックから成る貸借対照表では、「どのように元手を得て」→「どんな道具や武器に変え」→「いかに稼いだか」を見ています。さらに、損益計算書はもっとシンプルな作りで「売上―費用=利益」で、戦い方やセンスに「結果」がついてきたのか、戦略が外れたかを見ます。だから、「貸借対照表を見ると経営者のセンス、すなわち合理性がわかる。銀行マンはそこを見ているんです」、「損益は貸借よりもずっと構造がシンプルです。そして気合いやパワーの部分でこの2つは連動しています」。こうした構造のざっくりとした解説は、商業高校の授業とか簿記講座にありがちな、枝葉(勘定科目や用語など)から入る語り口とまったく違っていて、スッと記憶に入ってきました。

なお「財務分析の基礎」では提出は不要ですが宿題が課されました。「自組織や自社の決算書を実際に使って、ウチの会社ってセンスがあるのかを、ご自身で確認してみてください。それによって初めて分析の力が身につきます」とのことでした。(受講生は、とりくんだのでしょうか・・・?)

続いて後半です。地域に密着している信金&信組だが、その存在が当たり前となっていて、仕事ぶりが意外と知られていない。・・・ということで、きたかん2期生ふしみさんの視点で、信金の仕事や観光とのつながりを、発表しました。

普段は自身を「私」という伏見さん。発表では「手前ども」と、自分および自組織の呼び方が仕事モードになっていて、新鮮でした。そこで「地域に密着するとはどういうことか」を、数の上では圧倒的な銀行と比較して説明したのが、金融素人きのっちにはとても分かりやすかったのでした。

銀行は株式会社、すなわち株主の利益が優先されます。その点で信金は「相互扶助」を目的とした協同組織の金融機関。地域に立脚してて、利益第一主義ではない。そうした点で「観光関係の人にとっては使いやすい金融機関ではないか」と、ふしみさんからコメントがありました。その信金の営業地域はたとえば、遠軽とか空知とか、一定の地域に限定されており、顧客から預かった資金は、その地域の発展に生かされているんだそうです。投機的などこかの国の金融商品に突っ込まれる心配もなく、安心です。

ですが全道に33ある信金業界も、もれなく世界的な金融破たんに翻弄されたようです。そこで近年は、地元の企業と連携を強め「リレーションシップバンキング(地域密着型金融機関)」として、長期的な信頼関係を築きながら、助言や融資で個人や企業を後押ししているとのこと。こうした話を一通り聞いたあとの質疑タイムでは、いろんな質問がよせられました。

・33信金が1つのビッグ信金にはならないの?→ 一部、合併の話はあったように聞きます
・信金のTOPはどんな人がなってるの?→ 手前どもの組織TOPはいわゆる生え抜き理事長です
・銀行と信金、借り手にとってのメリットは?→信金のほうがケアが細やかといえます
・お金だけではなく、知識の部分もマッチングする、その具体例は?→回答略
・信金マンとして各地を見て回るの?→否、マイナーずき観光者の目線で見てます
こうして第2回勉強会を終え、恒例の飲み会に流れて行きました。

ちょっと自慢なのですが、きたかん勉強会では講師の招聘コストもかけず、構成メンバーでも充分に、皆がもつ専門性やその業界話でかなりの回数、勉強会が開けます。

第3回以降が楽しみです。

2010年10月28日木曜日

観光・アウトドアのプロになる@富良野

きたかんレポータきのっちです。10月26-27日にきた札幌の初雪は意外と強烈で、歩道の残雪に足をとられてましたが、それも一旦消えた2010年10月28日(木)くもり、日帰りで富良野市に行ってきました。富良野には、北の観光リーダー養成セミナー修了生いしかわさんが、観光協会にてがんばっています。ちなみに修了生組織「きたかん.net」では、同姓で「石川」が複数名おり、1~3号とご当人たちが名乗り、互いを識別しています。ちなみに「ちば」も男・女といて、ひとりを「ミスきたかん」と名付けて区別しています。

あ。話がそれました。

それにしても、上富良野、中富良野、富良野、南富良野町と「フラノは一体いくつあるのや!?」と道民歴3年目きのっちにとって、ナゾの多い北海道のどまんなか地域が、富良野広域圏でした。今回の訪問は、富良野の観光動向を知るための、自主遠征&社交活動の一環です。

【写真】no photo(カメラ忘れ・・・)

いま、この地域では<a href="http://tenshoku.mynavi.jp/hokkaido/sp101028/" target="_blank">「観光・アウトドアのプロとして、キャリアを富良野広域圏で積みませんか?」</a>という主旨で、移住定住の促進や雇用&就職のマッチングを進めています。さきのいしかわさんも職業上、自組織が「富良野広域圏経済活性化協議会」とか、「富良野広域圏通年雇用促進協議会」といった、長ったらしい名の組織(!)の構成団体となっているので、会場のホテルに来てました。

「外国人対応でニセコや倶知安エリアに大きく水をあけられた、立ち遅れてる地域」と、富良野の観光関係者は自嘲ぎみにおっしゃいます。が、いえいえどうして、観光人材の育成において必須となる多様な学習機会を設けていて、その多くが無料(あるいは廉価)で運営している。そうした活動の一端に、地域の本気度を感じました。でも今後は財源が困難となるため、次年度は語学などが有料化する模様ですが、それでも動員ではない、自分のお金で自主的に参加するモチベーションこそが、伸びる原動力となるはずです。

そして、良好にこのされた自然のおかげで、本物志向な人を国内外から呼びよせます。かつては冬しか客がこなかったという富良野。夏場の観光目玉づくりにラベンダーとか丘の景観づくりが時間を掛けて進み、同時進行でアウトドアのブームとも相まって、富良野の看板イメージに定着しました(よくもわるくも)。その結果として、通年楽しむ素材をもつ地域となった。これは良いことですが、雇用の安定面での弱みとしては、1つの企業や組織から給与や報酬を得ていない「複数のわらじ」をはいて生活を維持する人も、また多い地域のようです。夏はラフティング、春秋は農家の手伝い、冬はスキーのイントラといった暮らし方が、努力次第でできるのが富良野のよさです。一方、そうした若者やよそ者に対する世間の見方は厳しい。「根無し草」とか「好きなことして食べてる気楽な商売」等々、なかなか各人の持つ専門性が認識されていかないのが問題のようです。その点諸外国では、プロフェッショナルガイドは社会的に認識されており、顧客とフェアな関係が築けているようです。

ですから富良野でも、観光に携わる多様な人がもつ専門性がステイタスとして高まり、その人の近未来や中長期のキャリアパスが具体的に描ければいいなと感じました。その際の戦略を、多様な主体との議論から考えていくのが、きたかん.netメンバーいしかわさんほか、各地のきたかんメンバーの取り組みたい領域のハズ・・・です。

きたかんのアイディア出しや自主研究という名の「おせっかい」余地を感じた富良野遠征でした。

2010年10月25日月曜日

第3回養成セミナー【後編】ヒゲとり

きたかんリポータきのっちです。第3回北の観光リーダー養成セミナー続編です。

時間厳守を、このセミナーではモットーとしています。ある時は、プロジェクタに時間がデジタルに逆算されていくさまが大写しとなり、またある時は、益山講師の「残り時間、あと10分です」「あと30秒ー」と、容赦のない追い込みがあり、受講生が焦るさまは、傍目で見ていてなかなか愉快です(S)。

模造紙への書き作業を止めて、休憩もなくひきつづき発表アワーです。昼食を取らずに議論や書き作業にあてた人もいますが、「各グループ&各自が、おのれを管理する」のがお約束。「時間管理は大事なことだ~」と、発表の合間にとっておいたお弁当を食べつつ、受講生は空腹をもってグループワークのカナメを知るわけです。

お題によりA-Fまで、6つのグループが持ち時間7分、質疑3分の時間で、各自の「湯の川」および函館~渡島の2つの半島部(松前とか椴法華:とどほっけ とか)という広域圏を使った、ツアー企画を発表しました。

・女性や修学旅行生
・フランス人の親日家
・「80后」と呼ばれる中国の80年代生まれ世代
・団塊世代の夫婦 (順不同)
などなど商品造成の際には、具体的なセグメントを対象顧客としています。

【写真-1】プレゼンアワー (正座してる人は、時間管理の役)
※“お仕置き”みたいにみえますか

【写真-】益山講師からの鋭い質問(ほんとに鋭い点をついてきます)

受講生は、このプレゼンアワーのために、あらかじめ「マズいプレゼン」について益山講師からうまく感じるコツを伝授されています。それは極めてシンプルです。

「ヒゲをとりましょう」。

毛深いヒゲではなく、「え~」「あ~」「そのぉ~」という耳ざわりなあの口癖をとる。それだけで、劇的に上手に聞こえるから不思議です。また、プレゼンのベーシックな構造も習いましたが、今日の到達は「ヒゲとり」に集中したほうがよさそうです。

かくして、公平に発表順を選び、企画の発表がはじまりました。掛け合いが上手なグループや、寸劇をはさむグループなど、工夫やアドリブがあり、厳正評価とはいえ人間だもの、評価者の配点もつい緩みがちです。

結果として、やはりほぼ全てのグループで「ヒゲ」は取り切れておらず、課題として明らかとなりました。5-6名のうち発表者は多くが、2名体制でやっているところが多かったので、発表の役ではなかった人にも、おそらく、やらせたら「ヒゲぼうぼう」状態なんだろうな。非番受講生は思ったことでしょう。かく言う私も発表をさせればヒゲ、ついちゃいます。

なお本セミナーでは、グループワークでのアウトプットが、点数により評価され、公平に知らされます。そこで評価する側は、利害に関係のない講師陣や、たまたまいた野次馬(1-2期修了生)が加わることもあり、また受講生本人も評価する側となっていて、きわめてデジタルに順位が出ます。「北の観光リーダー」として修得したい目指すものがある以上、仲良し会ではありません。競わせることは、賞品は出ずともやはり面白さが増します。

プレゼンの結果発表は212点から142点の開きが出て、「カミポ:模造紙」の出来栄えでは1位239点から149点までの開きの中に、各グループが入る結果となり、全員で拍手を贈り、各自の課題が見えたであろう「湯の川企画」を終えました。

【写真-】結果発表にガッチリ握手 ※あれ。優勝じゃないのに大盛り上がり

【写真-】企画ポスターをバックに記念撮影 ※苦楽を共にした思い入れ?

次回の養成セミナーは、2010年11月27-28(土日)初めての道東セミナーと札幌セミナーが結集した、合同合宿@然別湖です。それまでおよそ、ひと月。

この週末のテンションを維持して「勉強すれ☆」

2010年10月24日日曜日

「湯の川」事例 第3回養成セミナー2days

きたかんリポータきのっちです。冬の使者「ユキムシ」の姿もだいぶ少なくなり、穏やかな秋らしさの景色も最後であろう2010年10月24日(日)週末、第3回北の観光リーダー養成セミナーが、土日の2days、札幌で開催されました。

【写真-1】会場は5F キャリアバンク

このところ、北の観光リーダー事業は活動が活発化しており、
・養成セミナー「道東」開講式&講義@釧路市
・きたかん(修了生組織)の第2回勉強会「財務:BS/PLのみかた」「信金の仕事と観光」
など、この場にて記録し、整理しておくべきネタはたくさんあります。ですがリポータが「泥縄状態」で、後からセミナーや勉強会を追いかけるていたらくな今日この頃です。

早速、2日目午後の会場に潜入してみました。

【写真-2】グループワークをやっています。

「・・・潜入」いえ、私は初代の地元学の副講師であり、1-2期生を育てた立場なのだから「潜入」しなくてもよいのでした。熱気のただよう室内で、みな、模造紙に書き込んでいます。ちなみに、本養成セミナーでは、個々人の能力を上げることよりもむしろ、バックグラウンドの異なる複数の社会人が、グループで、合意形成し、時間内にグループのアイディアを企画書にする。という一連の流れができるようになることを目指し、その結果ではない「プロセス」を大事にしています。そんなわけで、土日のお題は「道南:湯の川温泉」です。

彼らには、ケースメソッドという、A-4で20枚ほどの手作り教科書が渡されています。これは、実際の地域や組織、人物に取材した「生きたテキスト」。いまのところ非売品です。

【写真-3】これがケースメソッド(※写真は次回用の資料)

タイトル:「イベントを契機とした温泉街の活性化について~函館市湯の川温泉の取組みを事例に~」

加えて、毎回その地域から取材した相手や、その地域をよく知る人物を呼び、受講生の質問に応じたり議論に「リアリティ」を加えています。今回は、湯の川プリンスホテルの河内常務が参加し、受講生の実現しそうで見込みのあるアイディアには目を光らせます。このように、実際に困っている道内地域の現状と、その置かれたポジションをSWOT などを使い分析します。そして湯の川の競合相手(登別・阿寒・川湯とか道内外いろいろ)と比較して、チャートに位置付けしたりと、早速習ったマーケティングの道具を活用させます。ですから「なんとなく」の感性や、これまでの経験でという、いい加減さは許されません。

【写真-4】大人のお絵かき(素案)。どんな企画ができるやら

重いミッションを課せられている割に、各グループは楽しげにやってます。「その辺り、自覚しているんでしょうか?」リポータきのっち、授業参観日の父母みたいな気持になってきました。そして、1-2期の先輩にあたるメンバーもちらほら覗きにきてよいのが、このセミナーのメリットで、数名が出入りしていました。やはり自分たちの時と比べて、セミナーがどう進化しているか、受講生がどんな感じなのか気になるんでしょうか。

ちなみにこのアウトプット先ですが、模造紙と侮ることなかれ。この養成セミナーではオトナ社会の企業や組織活動を支える「企画書」を、そのまま大きくしたものとして「模造紙」を位置付けています。パソコンでスマートに発表したりする人を「カッコイイな」と思う、あのパワーポイントの原型。こんにちのハイテクの大本として「模造紙」を重要視し、電源がなくてもみなで使える「カミポ」として活用しています。

あぁ時間はもうすぐ。3期生は、ちゃんと形にできるんでしょうか。

【後半につづく】

2010年10月2日土曜日

観光リーダー3期生「夕張地元学」を開催

きたかんリポータきのっちです。札幌は穏やかな1日でした。タバコの大幅値上げから最初の週末、外の空気はタバコより百倍おいしいはずです。男女ともタバコ吸い率の高い道民には、ぜひ「お散歩」を実践していただきたいものです。そんな散歩から、まちを新たに発見をする「視点・発想」を養う、きわめて体とサイフに優しいプログラムがあります。特に観光の現場に携わる人全てがもつべき、地域資源を発見する「よそ者」の視点への気づきを、そのプログラム「地元学」は目的の1つとしています。観光やってる人が「よそ者」の視点で地域を見て、新たな観点から表現し続けられることが、北海道の観光を面白くする最初の一歩だと思います。

北の観光リーダー養成セミナーでは、9月11日の開講式に続き、2010年10月2日(土)、3期生が夕張市でグループに分かれて「地元学」のフィールドワークを行いました。その日は夕張に泊まり、3日の日曜に、グループごとにつくり上げた「新たな夕張を売り出す計画」を発表します。しかし、なぜに「夕張」?

炭鉱がダメになって観光に転換して、それも振るわず財政が政破たんし「負債」と「夕張メロン夫妻」をかけたキャラクターを作ったりしてる、ちょっと自虐的なまちね。

そんな負の側面もあるけど、一方では夕張メロンに代表される農業もあるよね。でもやっぱり仕事がないから地域は高齢化が進行してる、あの夕張市ですよね。

・・・と思うかもしれません。しかし実際に夕張を訪れたらゴーストタウン状態なのか?確かに数は少ないものの、まちは死んでなどおらず、人々は逞しく暮らしています。私も09年5月の桜の時期に夕張を訪れて、非常に印象的な経験をしました。

そのときの風景から。

【写真-1】山の斜面に炭住が密集してた頃の模型

【写真-2】炭鉱の娯楽だった映画の手描き看板が残る

【写真-3】観光でバリバリ夕張だった時代の 名残?

そうした「破綻」とか「山奥」などハンデを逆に売りにした、旅行商品をつくる力を付けるステージとして、夕張市を候補に、昨年以前から養成セミナー事務局では準備をしてきました。そして意外と夕張は面白い地域です。NPO法人ゆうばりファンタという、映画祭の主催や地域の文化ホール施設の維持管理を行う非営利組織も生まれ、そのとなりの病院では、総合医療から地域に必要な診療所に特化して頑張っています。

土曜の日中は外を歩き、地元の人に「あれは何?」、「それは何のためにあるの?」、「これ、面白い形ですね」など、あらゆる疑問質問、感想を元に、地域を取材して回ります。この地元学を面白くする秘訣は、各グループに1人住民についてもらうこと。そして町の人は親切心からあれこれ自らガイドせず「聞かれたら教えてあげる」姿勢を一貫させる。あとは気軽に取材しながらまちあるきすれば良いわけです。持ち物もシンプル。
・地図
・メモとペン
・デジカメ
・長い時間歩く服装

住民とひとくちにいっても、自治体や農協、NPOや医療、自営業者や高齢者など、いろんな活動の主体がいて、そうした人達との交流によって「よそ者」の目をもつ3期生は、どんな発見をしてくるのでしょうか。楽しみです。詳しいレポートは、夕張入りしている、養成セミナー1-2期生、きたかん先輩メンバー達や、敷田座長、もちろん3期生からも寄せられてくるでしょう。


【CM】「地域医療でなくまちづくりのために僕は
夕張に赴任した」と公言する村上智彦医師の日々。
メルマガ「夕張希望の杜」の毎日
http://www.kinoshita-toshiyuki.net/newsletter.html
※きのっちの独断&趣味でお薦めするHP・ブログ

2010年10月1日金曜日

きたかん「第1回合同勉強会」を開催

きたかんリポータ、きのっちです。「きたかん」とタイプすると「北韓」と出てくるのですが、私のパソコンに他意はありません。かの北の隣国も、後継者が先日明らかになり、国や組織が引き継がれようとしています。翻って、吹けば飛ぶような私たち自称・北海道の次世代観光リーダーの組織「きたかん.net=通称:きたかん」も、養成セミナーを修了しておしまい・・・ではなく、学び続けて1-2-3期生のつながりを強化し、後に続く者を育てないといけない。いや、育てる以前に皆で集まって楽しく学ぶ中から、3期生にも少しずつ仲間入りをさしてやろうじゃないか。・・・というコンセプトのもと「6割の野望と4割の飲み会」(?)のきっかけづくりに、記念すべき「合同勉強会」が、2010年9月30日に開催されました。

【写真-1】勉強会担当の予想を超える参加者だった

==========================================
「きたかん.net」第1回合同勉強会
日時:2010年9月30日(木)18:30~20:30
場所:キャリアバンクセミナールーム
==========================================

最初に、この勉強会を提案した、2期生にゃまさんがその意図を説明。話をしがてら、初対面も多いことによるやや堅さのある場をほぐします。次に、観光業界と自治体その両方を知る、にし氏と、添乗員や通訳者などで人を旅に介在させる業務を通じ、観光に価値を生む、実務家うえ氏が講師となり、パワポによって旅行業法のイロハを簡単におさらいしました。【写真-1】

【写真-1】にし講師。彼はこのプレゼンのために旅行業法を学び直した

昨今、規制緩和によって第3種旅行業という、ちいさめの旅行業者(いわゆる旅行代理店)が設立しやすくなっています。それによって北海道の小さな地域から、町や村の魅力をギュッと詰め込んだ旅行商品を、直接顧客に売りやすくなってきています。その辺りの状況の変化も「観光圏内限定旅行業者代理業」といった新たな緩和による業者の出現や、最新の動向を紹介しました。こうした内容は養成セミナーでは扱わず、みなが必要としていながら、あまり得ることのない知識面での整理でした。ちなみに旅行業者と、旅行業者代理業って、言葉は似ていますが親子みたいな主従(?)関係が似ている双方の中にあり、さらにできる業務にも差があります。これが、Part?:「旅行業法、旅行商品の基礎知識」/講師:2期生にし&うえ氏。

続いて、こうした旅行業法や、観光を使って地域の人や自治体、観光協会などと強力タッグを組んで、北海道の活性化を目的とする鉄道社員、かつ、きたかんメンバーである2人の講師が語りました。さらに後半はフロアとも質疑や対話を交えて、理解が深まりました。Part?:「JRさんに聞いてみよう!」/講師:1期生=ぬまっち&2期生=ぐり氏

参加者からの質問や提案に出てきた話を受けた対話では、新発想あり、いろんなトリビア的なネタや豆知識が満載で、勉強会は盛況でした。さらに志願者は自主勉強会@南3条まで移動して、噂では23名の大飲み会が行われた模様です(冒頭に「勉強6」としましたが、実は「6割の飲み会と4割の野望」・・・でしょうか)。

【おもな きたかんCAST】
・にゃまさん・・・某テレビ局営業。近く地元学で講師デビュー@夕張
・うえさん・・・旅行は平和が一番。人柄も極めて温和な添乗員手配の実務家
・にしさん・・・旅行業資格を持つ市の職員。今回は扁桃腺炎ながら講師を買って出る
・ぬまっちさん・・・鉄道会社が地域と組んで出来る、ワクワクをさがす男
・ぐりさん・・・きたかんに不可欠な属性、汽車を走らせる、ミスターインフラ
・きのっち・・・も、旅行業資格を狙って受験勉強中。計算モノがなかなか手強い

【CM】次世代の北海道観光リーダーはあなたです。
「北の観光リーダー養成セミナー」
概要・セミナーの様子 = http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kanko-manager
北海道の観光観光人材育成事業。平成20年度に始まり毎年度、半年の期間で
30名の精鋭が育つ。テンションが上がった受講生らは、その後、自主組織
「きたかん」に任意で所属して相互に高め合う「ゆるいつながり」を形成。