2010年12月4日土曜日

12/4夕張セッション第2章「破綻」

きたかんリポータきのっちです。本日2010年12月3日(金)、北の観光リーダー養成セミナーの受講生を毎年出していて、地域の再生に前進しようとしているまち夕張と、セミナー修了生組織きたかんが、互いに学び自身の活動にも活かしましょうという「夕張ユニット」荒舘・くぼじゅん・はたぶーさん企画の勉強会がありました。

夕張セッション第2章『炭鉱から観光そして財政破綻・・・』
場所:キャリアバンクセミナールーム。出席 合計17名 でした。

【写真-1】きたかん修了生が講師に。企画したのも同修了生(左:あらだて氏、右:千葉氏)

あらすじ=1983年の「石炭の歴史村」開業から観光業が始まり、スキー場、ホテル、遊園地、ロボット館、世界のはく製etc・・・、ハコを作って資源を来訪者に見せることから、3セクが経営し続けていくためにハコを作り続けることへと、目的がすっかり変質し、ついに2006年財政再建団体となり夕張市は破綻しました。そんな観光投資の結果、やまもりの3セク処理が待ち受け、その再建を「現場で見て仕事に携わった者」として、2人がその時代を語りました。1人は市職員、もう1人は銀行からの出向職員。かれらの率直な語りには、出来事は夕張で顕著に現れたが、どこにでも起こりうることだ。というメッセージが込められていました。

まず講師-1として佐藤学さん 市の建設課で市営住宅の管理を担当しています。「観光とは関係ない課なのに~?」と思うなかれ、佐藤さんは様々な役場の課を、仕事を鵜のみにしてこなすだけでなく、常に批判的に向き合ってきっちり問題点は相手とケンカしてでも、ないがしろにせず、渡り歩いてきた職員です。大変な課を渡り歩くことは、それだけ仕事と真摯にむきあって来たことの表れ人事です。それを美辞麗句がないご本人の弁だと「人呼んで『汚物処理班』、歩く三角コーナーとして、異動を命ぜられてきた」とのこと。公務員としてのアウトローぶり、すばらしい表現力です。佐藤さんが20分ほど喋って10分ブレイク。休憩ののち、講師-2として夕張の財政破綻時における処理を、市役所を支援する出向という身で現場に入り、2年間苦労して担当したのが、きたかん2期生の千葉さんで30分語りました。

それにしても、夕張が破綻して大変だという情報は、テレビに新聞、本で表現されてきたものは数あれど、どれも夕張の事実を適宜、素材になりそうな部分だけくっつけて話に整えたものも多々あったと思います。事実ではあれど真実ではない。その真実を、実際に“処理班”していた2人から聞けて、そして後半では夕張4人衆として、フロアとも交えてQ&A式で話を深く聞くことができたことに、とても価値ある時間をすごせました。

【写真-】夕張ゆかりの4人衆(左から佐藤・伊藤・千葉・あらだて)

組織として目的を設定し、人や情報などある資源を動かすことの大切さを痛感しました。本来、組織としてうごくべき市役所が属人的に、きわめて非システム思考で長年やってきており、中の人達は改善すべきことを思考できない、いうなれば「困っているんだけど、具体的にどう困っているかが分からない困ったぶり?」が蔓延している組織、それが夕張市役所でした。そして課内はおろか、自分のすべき最低限の守備だけ見ていて庁内の連携や、市と他の機関との連携は、守備の範囲外で個人の知ったことではない。そうした仕事をめぐる症状は、夕張でたまたま顕著に現れただけで、各地の市町村、いや、フツーの会社内にも色濃くみられる現象ではないでしょうか。

Q&Aタイムでは、このような質問(一部)が出ていました。

Q:市役所職員は、支援の目的で外からデキる逸材が各地から入ってきた。彼らに感化され「やらなきゃ!」と奮起して、自ら変わるという変化がなかったの?
→一部影響されて仕事ぶりが変わった職員もいたが、土台となる人材育成の仕組みがない環境が長く続いたので、古参は外部から刺激しようとさほど変わらない。

Q:夕張市や市民は外からの支援を、ホントのところありがたいと思っていたのか?
→市民や市役所に「支援慣れ」している面があった。炭鉱時代の文化が影響していると思われる(北炭時代~ 家賃、光熱、風呂etc・・・無料で使えて当たり前)

Q:支援に入る人が、市の課長など権限をふるえるポストにつかなかったのか?
→長も長補佐もプロパー系職員で、実際に外からの支援人材がつくのはそれ以下の職位だった。

Q:暗い話ばかりだった。夕張に明るい話はないの?
→明るい話題としては、破綻以降こうして我々がヨコに連携する機会が生まれた。そのつながりから、いま若手が奮起しようとしている。

Q:いろんな人的支援、物納、ボランティア等あった。本当にほしかった支援は?
→夕張にはいろんな支援がきたが、市役所に人を育てるプログラム自体がないことが一番の弱点。ここの改善には、今いる反対派の影響があり内の努力では困難。総務や人事などに人材育成のシステム思考を持つ人がついてくれると、市役所は変わると思う。

・・・と質疑も沢山寄せられましたが一旦終え、話足りない点は有志と夕張組、場を変えて飲みに行き、懇親を深めました。次回の夕張セッション第3章、テーマは『市民活動について NPOの設立』、2011年1月の開催予定です。こちらも楽しみです。


【セッション第2章ゲスト】
★佐藤学 氏
破綻当時、観光課として3セク処理を担当し、再建計画案策定に係わり、現在住宅再編問題を担当。

★千葉敬司 氏
北海道銀行美香保支店(きたかん2期生)
銀行から出向職員として夕張市地域再生室主幹として、3セク処理など藤倉市政を2年間支えてきた。
 
【きたかんおもなメンバー】
千葉さん・・・久しぶり登場のきたかん2期生、銀行マン 
くぼじゅん・・・恵庭でまちづくりをやっているデザイナー
はたぶー・・・夕張セッションでは企画&集金係。すすきの魅力UPを企む
あらだて・・・きたかんと夕張との縁を取り持つ夕張のNPOスタッフ
きのっち・・・最近なくしものが多い、きたかん記録係

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