2010年12月24日金曜日

座長のすがお「閉じつつ開く組織研究」@東京編

きたかんリポータきのっちです。北の観光リーダー養成セミナー座長の敷田教授は「閉じつつ開かれた組織」が、どう学習しながら育っていくかに、興味を持っているようです。教授いわく「麻美≒麻実。よく女性と誤解される名前を親からもらったことによって、僕は越境する構図の『境目』に興味がある。だから地域における『閉じつつ開かれた組織の研究』をライフワークとしている」のだそうです。

しかし「閉じつつ開く」とはどういうことでしょう。禅問答のようで、私が正直イメージしたのは網戸であり食虫植物でした(イメージが不毛で恐縮です)。ちょうどこの大学間連携の研究プロジェクト<a href="http://hope80.jp/" target="_blank">「HOPE80」</a>を、ちょっと手伝う機会があり、私も学習の機会をいかし東京に出動しました。会の規模は15名程度で、なごやかななかにもアカデミックな雰囲気でした。ちなみに研究を平たく言うと「旅行をしつつC02排出は減らし、地域と都市を結び、温泉地域が活性化するために観光とかネット技術やNPOができること」を出し合う会です。

【写真-1】会場はJR田町駅至近。全国の国立大が多数入居

【写真-2】千歳は雪。東京は晴天

まず3大学(東京農工大・早大・北大大学院)を代表して敷田教授が研究会プロジェクトの趣旨を説明し、参加者が自己紹介を行いました。そして大学だけあっても研究は「現場」がないと進まない、その具体の実験地は小田原・足柄地域に設定しています。

その後、敷田教授の指導学生でもある博士課程2年の依田真美氏が「ボランティア・ツーリズム」を、そして敷田教授が「地域づくりにおける中間システムの意義と役割」を概要説明し、参加者と議論しました。その後、ボランティア・ツーリズムや都市と農村交流の実践地として、新潟県の<a href="http://www.echigo-tsumari.jp/" target="_blank">越後妻有アートトリエンナーレ</a>に携わる、関口正洋氏が事例を発表しました。

依田氏はボランティア・ツーリズムが日本で研究の歴史が浅い状況にあることを紹介し、ボランティアを旅先で行う目的を2点説明しました。その1つは地域に人を呼んでくることで今まで地域ができなかったことができるようになる点。そして地域に関わることで意識が変わる点で、その結果、地域でのグリーンツーリズムやボランティア・ツーリズムとの間に、重なりや共通する問題が多く、双方が展開する上で関与し合う研究となることなどを説明しました。出席者からは多くの意見や質問が寄せられ、都市と農村の距離を埋める直接の交流や、実際の対話とデジタルの融合が、持続的なボランティア・ツーリズムの課題であることなどを共有していました。

続いて敷田教授は<a href="http://www.geocities.jp/loveodaashi/" target="_blank">「小田原・足柄異業種勉強会、通称:おだあし勉強会」</a>を北大側の場に設定した企画を発表しました。

【写真-3】企画発表を前にくつろぐ敷田教授

北大は「中間システム」におだあしを位置付け、当該地域の組織や運営の仕組みを研究対象とします。そして地域資源を活用し、外から人の来訪を中間システムが促し、来訪で得た利益から地域の資源に再投資を行い、環境の疲弊を防ぎ地域の価値を高め、再度サイクルを回すという構造のプロセスを、図で解説しました。この研究の到達の一つに「効率が悪いこと自体を評価の対象とする研究」を目指すと敷田教授は言います。非効率の効用を立証し、さらにCO2とも関連すれば有益であると述べて発表を括っていました。おや??またしても、効率の悪さを評価する?・・・禅問答のような目標の設定です。発表をうけての意見交換と質疑では、出席者から「プラットフォーム」や「場」という言葉について、再度の確認の共有や、公共性、ソーシャルキャピタルの概念について意見が出ていました。楽しげですが難しい話でした。そんな一連の議論の中で、「遊びがあるほうが壊れにくいものです。ムダだからこその美しさがあります」と参加者の中から、含蓄あるコメントがあり、なんだか私の印象に残りました。

休憩ののち、都市の若者によるボランティア隊「こへび」(※へびの子)と地域との交流の実践を「越後妻有アートトリエンナーレとこへび隊」と題し、関口氏が発表しました。

【写真-4】各地の持寄り菓子で休憩時間充実

こうして第1回の研究会@東京は、大学間の連携および地域と大学との協働の第一歩として、全体メンバーが顔を合わせ、研究のベクトル合わせを行い、予定時間を超えた議論を一旦締めました。そして懇親会の店へと移動して、師走のお鍋を一同が楽しみました。敷田座長のなぞかけのようなライフワーク「閉じつつ開く組織研究」による、大学間連携のよき研究フィードバックが、北の観光リーダー養成セミナーや、その修了生組織きたかん.netにも、2011年は期待できそうです。

【きたかん CAST】
・敷田座長=北の観光リーダー養成セミナー座長。よそ者と知り合うのが趣味
・きのっち=きたかん記録係。風邪ぎみから中耳炎に昇進(?)北海道の皆さまご自愛を

【NEWS】
科学技術コミュニケーションの実践と研究の交流の場として、<a href="http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/costep/" target="_blank">北大 CoSTEP</a>が年2回刊行しているジャーナル『科学技術コミュニケーション』が最新号(第8号)発行。
敷田麻実教授が論文を出しました☆
http://hdl.handle.net/2115/44524
タイトル:専門家の創造的な働き方としてのハーフシフトの提案
~科学技術コミュニケーターとしての隣接領域での無償労働~

下記ウェブサイトから全文閲覧可能です。
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/jjsc/

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